猫ちゃんの死因のトップ10に入る腎不全
本日は、猫の腎不全について、獣医師よりお話しを聞いてきましたので、皆さまにも情報を共有していきたいと思います。
気づいた時には治療法がないこともある恐ろしい病気です。
一度罹患しまうと疾患の進行を遅らせることは出来ますが完全治癒は見込めません。
猫の宿命ともいえる疾患です。
高齢猫ちゃんにおいては、第1位に挙げられる猫ちゃんの代表疾患の一つです。
まずは日ごろからしっかり健康管理(チェック)を行っていきましょう。
腎臓の役割
腎不全を知る前に、まずは腎臓の役割について、お話ししていきます。
腎臓は血液を綺麗に保つための重要な役割を果たしています。
たんぱく質を利用すると尿素(アンモニア)という老廃物が生じます。
このような老廃物を尿として体内から排泄し、血液を清潔に保つのが腎臓の役割です。
ネフロンの役割
血液は腎臓のネフロンという場所で濾過(ろか)されます。
人体に必要な血液は体内に留まり、老廃物を含む(不必要な血液)原尿が分離されます。
原尿から必要なミネラルと水分が再び吸収され、不要な老廃物(不必要な血液)と余分なミネラルを含んだ尿が生成されます。
こうして生成された尿が腎臓から尿管、膀胱、尿道を通り体外へ排泄されます。
腎臓は体内から老廃物を取り除く役割だけでなく、体内のミネラルや水分量を調節する役割があります。
腎不全とは?
腎臓(特にネフロンの働きが機能の低下若しくは停止)の機能が低下(若しくは停止)し、腎臓の役割が働かなくなった状態を言います。
15歳以上の80%以上が腎不全
ウィルスの影響であったり、歯肉炎・口内炎などが影響していると考えられていますが、原因不明の難治性疾患です。
15歳以上の猫ちゃんの80%以上が「腎不全」という報告があるように、高齢の猫ちゃんの大半が罹患していると言われています。
ヒマラヤン・ペルシャ・ラガマフィンに多く見られる多発性嚢胞腎などの遺伝性疾患も「腎不全」の原因となります。
腎不全の症状とは?
早期に発見し早期治療すれば、進行を遅らせることは十分に可能な疾患ですが、腎臓の機能が3分の2くらい失われてようやく症状が現れると言われており、「初期段階で見つけられたら幸運」と言われる程見つけにくい疾患の一つです。
目に見える兆候が出た時には、もう手遅れなんてことも珍しくはありません。
初期症状
初期症状では「いつもより水を飲む」「トイレに行く回数が多い」「おしっこの色が濃い」などが見られ、毎日観察をしていないと気付かないくらい小さな変化です。
早期発見で最も大切なことは「定期的に健康診断」を行うことです。
日々の観察で見逃してしまった場合でも10歳までは毎年健康診断を実施していれば早期発見につながる可能性が高まります。
中・末期症状
中・末期症状では、「食欲の減衰」「体重減少」などの徴候が見られ、ここまでくるともう既に進行している状態と言えます。
腎臓病の治療法とは?
腎臓病の治療には、食事療法が付き物です。
この食事療法の効果は、普通食の約三倍の延命が見込めるという結果があるそうです。
腎臓病の治療には、食事療法が付き物です。
もしも猫ちゃんが腎不全に罹患してしまったら、獣医師と相談しながら食事療法を取り入れていきましょう。
今はホームセンターなどでも療養食が流通し様々な療養食が店内に陳列しています。
パッケージを控え獣医師に適合するか否かを相談した上で購入するようにしましょう。
また、延命のためにもおやつは極力与えないようにしましょう。特に人間用の食べ物やおやつは塩分や油分が高いため、延命どころかその場で・・・なんてこともあり得ます。
絶対禁忌です。
肝に銘じておきましょう。
希望の星?新薬発売!
今から5年前に、猫の腎不全用のお薬が発売されました。
(処方薬)元々は人や犬用に開発されたお薬が猫の腎不全薬として発売されました。
この薬が発売される前までは、腎臓病の治療と言えば残された腎機能を少しでも長く保たせるため、腎臓の負担を少なくするための薬の投与や輸液、食事療法だけでした。
この猫ちゃんの腎不全薬は、元々人の慢性動脈閉塞症や犬の心臓病用に作られた薬で、猫ちゃんの腎不全にも効果があると実証され4年前に正式に認可が下りました。
新薬の効能は?
この薬の効能は、血管を拡張させる作用によって腎機能の低下を抑制・食欲不振や体重減少・嘔吐などの症状を改善させる薬です。
この効能により腎不全の進行を遅らせることが出来るようですが、壊れた腎臓を修復する薬ではなく、あくまでも進行を遅らせるための薬です。
一日朝晩の二回の投薬が必要で、薬の表面にコーティングされているため砕かずに錠剤のまま飲ませてあげるのがベスト。目立つ副作用もなく比較的安全な薬です。
但し、降圧剤などの他の薬を服用している猫や他の疾患がある猫ちゃん、体重が2㎏以下の猫は獣医師に相談してから服用するようにしましょう。
お薬の費用は1錠100円から200円相場のようです。
延命には、治療の継続が大切
腎臓は、一度壊れてしまうと回復が難しい臓器で「サイレントキラー」と言われる程発見にも時間がかかります。
残念ながら、服薬することで完全治癒はしません。
しかし、飲み続けて明らかに腎臓マーカーが下がったという結果もでているようですので、継続することで猫ちゃん自身の体も楽になっていけば・・・。
これからも飼育に関する内容や病気予防に関する内容をお伝えさせて頂きますので、日々の飼育の参考になればとてもうれしく思います。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。