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【遺伝性疾患 連載 最終回】肥大型心筋症とは? 大型猫種必見

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しーまさんちの猫ブログ運営者の CMATERRACE SIBERIANS™(サイベリアンブリーダー・キャットグルーマー・動物看護師)です。
私自身の詳細は、プロフィールページに記載してありますので、以下の詳細ページよりご確認下さい。

猫種特有の大きな疾患(遺伝性疾患を含む)が確認されていない健康優良猫種がサイベリアンの魅力の一つです。
しかし、病気に罹患しない確率は生き物である以上0%というのはあり得ません
今回は、低確率ながらも現在サイベリアンが確認されている大きな疾患のワースト3と治療法についてお話ししていきます。

ワースト3は以下の疾患となります。

  • 1位 ピルビン酸キナーゼ欠乏(欠損)症(代表猫種はシンガプーラやベンガル・アビシニアンなど)
  • 2位 子宮蓄膿症(女の子のみ)
  • 3位 肥大型心筋症(大型種に多い)

連載最終回は、「肥大型心筋症」のお話しになります。

目次

心臓の役割

心臓は「心筋」によって「拡張と収縮を繰り返す」ことで、全身の血液を取り込み送り出すポンプのような働きをしています。

肥大型心筋症について

心筋症とは、心臓の筋肉(心筋)そのものに異常が出てくる疾患です。
その中でも心筋が厚くなる疾患が肥大型心筋症です。
肥大型心筋症では心筋が厚くなり心室が狭く(狭窄)し、柔軟性が低下することで心臓がうまく膨らむことができなくなり、結果全身に十分な血液を送ることができなくなる疾患です。
猫ちゃんの肥大型心筋症の発症率は15%と高く、3ヶ月の仔猫ちゃんから15歳以上の高齢猫ちゃんまで幅広い年齢層で発症することが確認されています。
肥大型心筋症は、最悪「死に至る可能性の高い」重大疾患の一つです。

肥大型心筋症の原因

猫ちゃんの肥大型心筋症の原因には、有力な原因として挙げられるのは「遺伝子の変異によるもの(遺伝性)」と疑われています。
しかし、猫ちゃんの肥大型心筋症のサンプルを証明できる被検猫ちゃんが極わずか」でこの仮説を証明できないとされており、現在のところ断言できることは「原因不明」ということです。

肥大型心筋症の好発猫種

好発猫種として挙げられるのは、主にロング&サブスタンシャルタイプとコビータイプ(セミコビータイプ)の長毛種に好発している傾向にあります
いわゆる大型猫種と中型猫種と言われている猫種です。
具体的には、メインクーンを筆頭にノルウェイジャンフォレスト・ラグドール・ペルシャ(パージャン)などです。
サイベリアンも大型長毛種に分類されるため、一応頭の片隅には置いておいて下さい
年1回(11歳以上年2回)の健康診断時にでも、レントゲン検査・エコー検査・心電図・血液(生化学)検査をして異常の有無を確認しておいても猫ちゃんにとって損はないかと思います。

肥大型心筋症の症状

猫ちゃんの肥大型心筋症の「約5割が無症状であると言われているようです。
そのため、症状が現れた時には既に重篤状態で緊急処置が必要なケースが多く、この点は「腎臓病(腎不全)と酷似」しています。
基本的に自宅で出来るレベルにおいては腎臓病(腎不全)の症状と酷似していますので、腎臓病にしても肥大型心筋症にしても症状が現れているということは重篤状態ですので、以下のよう症状が現れた時には、「至急動物病院に連絡し通院」するようにして下さい。

  • 下半身(後ろ足)不随。(動脈血栓塞栓症)
  • 呼吸回数の上昇(いつもより呼吸が荒くなる:胸水・肺水腫など)
  • 見当識(意識)障害(失神する)
  • チアノーゼ(薄ピンク色から、唇を筆頭に全身が紫色に変化する)

なお、咳・下半身不随・呼吸器の上昇に加えて、見当識(意識)障害(失神する)やチアノーゼが出現してしまった場合は、動物病院までの距離にもよりますが「時間の問題」で助からない可能性は非常に高くなります。

突然死の可能性

肥大型心筋症は、上記の症状が現れ段階的に重篤化していくケースもありますが、不整脈や大動脈血栓症などが原因で「突然死」を引き起こす可能性が多い疾患でも有名です。

突然死の原因 -最大の原因は血栓症-

この肥大型心筋症は、左心室の血液を貯蓄する場所が狭窄します。
更に左心室の心筋が肥大し心臓が上手に膨らむことができなくなり、左心房に血液が溜まっていきます。
血液は流れていないと凝固作用が働いてしまうため、左心房に血栓ができやすい環境下に陥り次第に血栓が形成されてしまいます。

肥大型心筋症の治療 -症状緩和・病状遅延-

肥大型心筋症の治療は、対症療法で投薬治療です。
残念ながら完治は見込めず、症状の緩和・病状の遅延目的の治療がメインとなり、完治が見込めない以上生涯定期通院と投薬治療が必要となります。

定期通院の役割

肥大型心筋症の症状の進行具合や血栓・不整脈の検査を行い、症状に応じた治療計画(方向性)を決めていくのが定期通院の役割となります

獣医師の技能(専門性)・検査設備に着目し、誤診に注意

肥大型心筋症の治療は、より高度な専門知識と検査・治療機器が必要になります。
日頃から犬ちゃんがメインの動物病院では、猫ちゃんの行動特性や純血種の特性を理解せず、検査のまま診断を下す獣医師がいますので注意が必要です。
例えば、猫ちゃん特有の通院時における心拍数増加や心雑音・不整脈などで、猫ちゃんの特性の一つに環境変化による心拍数増加の傾向があるため、「異常であったとしても、反対に健常と判断される」場合があり、検査すらされないケースがあります。
これは、好発猫種を知っていればリスクの可能性を理解するはずです。
なお、診療報酬目的に検査項目を無暗に増やし、高額な診療報酬を請求する動物病院も多発しており、猫界においては、カンドオピニオンやサードオピニオンは、人間同様に当たり前になりつつある現状です。
これは通常時でも言えることですが、決して「近所だから」などの理由で動物病院を選定するには止めておきましょう
また、動物病院によっては、肥大型心筋症を疑う若しくは確定診断できたとしても、獣医師の技能不足や検査・治療機器の不足で治療できないというケースも稀なことではありません

猫ちゃんのためにも定期的な健康診断に行きましょう

肥大型心筋症は、腎不全と同様に無症状のまま一気に重篤化し、更には突然死を招くろしい疾患です。症状に気付くのはプロでもとても難しいです。
好発猫ちゃんを飼育されているオーナー様は、猫ちゃんの健やかな日々の幸せのために、専門性の高い獣医師が在籍している動物病院の選定とそこで通常の健康診断のメニューに肥大型心筋症の検査メニューを追加して下さい

いかがでしたでしょうか?
サイベリアンに関係する重大疾患(遺伝性疾患)ワースト3を3部作でお送りさせて頂きました。
今回お話しをさせて頂いた疾患は、あくまでもサイベリアンに関係するであろう遺伝性疾患であり、まだまだ大中小の病気が無数に存在します。

CMATERRACE SIBERIANS

これからも飼育に関する内容や病気予防に関する内容をお伝えさせて頂きますので、日々の飼育の参考になればとてもうれしく思います。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。

免責事項
今回の記事内容には、獣医療に関する内容が含まれております。
法令により診断の確定やその治療法については獣医師のみが許されております。
記事内容は常に細心の注意を払いリサーチし作成しておりますが、動物看護師ではその診断・治療法について確定し助言することは出来ませんので、あくまでも参考程度にお読み下さい。
心当たりがあるオーナー様は一刻も早く動物病院に通院されることをお勧め致します。

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